“わがまま行動”は本当にわがままなの?
2025.10.30 BLOG
「また吠えてる…」「ご飯を残すなんて、わがままな子ね」──そんなふうに思ったこと、ありませんか?
でも実は、それ、“わがまま”ではなく、学習と環境の影響かもしれません。
■ 行動の背景にある「学習の仕組み」
ワンちゃんの行動には必ず「理由」があります。
行動分析学では、行動は A(きっかけ)→ B(行動)→ C(結果) の流れで学習されると考えられています。これを ABCモデル と呼びます。
たとえば──
- A:飼い主さまが電話中(=かまってもらえない)
- B:吠える
- C:飼い主が「シーッ!」と反応する
この時、ワンちゃんは「吠えたら構ってもらえた!」と学習します。
結果、次からも同じように吠えることで“かまって”を得ようとするのです。
つまりこれは、「わがまま」ではなく、「伝え方の学習結果」。
■ 愛着と行動はつながっている
ワンちゃんは人間との絆をとても大事にする動物です。
愛着理論では、安心できる相手がそばにいるとき、子ども(=ワンちゃんも同様)は安心して環境を探索し、行動も安定するとされています。
逆に、安心感がないと不安からくる行動(吠える・飛びつく・かじるなど)が目立つようになります。だからこそ「落ち着いて行動できる環境づくり」が大切なんですね。
■ どうすればいいの?──環境を整えて“伝え方”を育てよう
✔️ 正の強化(ほめて伸ばす)
ワンちゃんが「してほしい行動」をした瞬間に、ほめる・おやつをあげるなどの“ごほうび”を与えることで、「その行動がよかった」と教えていきます。
✔️ 無視の活用
逆に「吠えても無反応」など、伝え方が“間違っている”時はそっと無視をすることで「その行動では伝わらない」ことを教えることができます。
✔️ 行動の置き換え
たとえば、「吠える」代わりに「おすわりで伝える」ようにトレーニングするなど、“伝え方”を教える工夫も効果的です。
■ 「自分を責めない」もし行動が直らなくても…
「うちの子、またやっちゃった…」「私のしつけが悪いのかな…」 そう思うこともあるかもしれません。でも、行動は一度で変わるものではありません。何度も伝えて、少しずつ変わっていくものです。
そして大切なのは、「あなたの子にしかないペースがある」ということ。
■ 一緒に、学んでいきましょう
“問題行動”と思っていたことも、ちょっと見方を変えるだけで「学びの途中」と受け止められるようになります。
私たちも、ワンちゃんたちと日々向き合う中で、 「伝わらなかった」ではなく「まだ伝え方を知らなかっただけなんだ」と思うようになりました。
ワンちゃんも、飼い主さんも、お互いが学び合う関係。
ぜひ、一緒にそのステップを重ねていきましょう。
(次記事以降も続きます)

