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“歯みがきシート”や“ガム”って効果あるの?

2025.11.20 BLOG

「歯みがき、した方がいいのは分かってる。でも、うちの子、絶対に口を触らせてくれないんです…」

「ガムだけじゃダメなの?」

「歯みがきシートは正直うまく使えていないです…」

実はこれ、すべて現役の飼い主さまたちから寄せられた“リアルな声”です。

ペットサロンでも、動物病院でも、歯みがきの話題になると必ず出てくるのが「実際どうすればいいの?」という疑問。
今回は、そんな迷える飼い主さまのために、“口腔ケアの選択肢”を科学と現場の視点から深堀りしていきます。


飼い主さまのリアルな声:ガムに頼りがちなのはなぜ?

あるペット系掲示板やYahoo!知恵袋にも、こんな声が多数寄せられています:

  • 「うちは歯みがきシートは全然ダメ。とにかく暴れるので、ガムだけにしています…」
  • 「毎日じゃないけど、とりあえずデンタルガムを与えておけば大丈夫かと思ってました」
  • 「本当は歯ブラシがいいのは知ってるけど、どうしてもできない日が多くて…」

このように、“歯ブラシが理想”と理解しつつも、現実的にはガムに頼る方が圧倒的に多いのが実情です。

一方で、シート(当店では「コットン磨き」として推奨)を使っているという声は、比較的“しつけや接触に慣れている飼い主さま”に多く、ガムの方が“誰でも与えられる気軽さ”という点で選ばれている傾向があるようです。


まず知っておきたいのは、デンタルケアの方法には大きく2つのタイプがあるということです。

  • 機械的除去:歯ブラシやシートなどで、物理的に歯垢をこすり落とす方法。
  • 化学的除去:抗菌成分や酵素などで、細菌の増殖を抑える方法。

歯みがきシートは、ガーゼやコットンに近い“やさしい摩擦”で歯垢を除去する機械的除去の一種です。歯ブラシに比べると奥歯には届きにくいですが、「まずは口を触られることに慣れてもらう」第一歩としてはとても有効です。


それぞれの役割はまったく違う:比較と正しい理解

ケア用品主な目的清掃の仕組みメリットデメリット
コットン磨き
(シート)
表面の汚れ除去機械的摩擦優しい・
口当たりが良い
歯間や奥歯には
届きにくい
歯ブラシ歯周ポケットや歯間の清掃機械的清掃最も高い清掃力嫌がる子には
ハードルが高い
デンタルガム汚れの付着抑制・咀嚼刺激咀嚼+唾液分泌嫌がられにくい・気軽単独では清掃力に限界がある

つまり「どれがいいか」ではなく、「どう組み合わせて使うか」が鍵です。


「補助」と「基本」の明確な違い

「歯ブラシやコットン磨きでの物理的清掃が“基本”です。ガムや添加剤は“補助的手段”と考えてください」

これは、人間と同様で“自分で磨く”のが最も効果的だということ。
もちろん、ワンちゃんが自分で磨けない以上、飼い主さまの手で「物理的に落とす」ケアが基本になります。

とはいえ「歯ブラシは絶対」という姿勢ではなく、

「まずは口を触るところから。シートでも十分効果はある。続けることが最も重要!」

とも専門的見解で強調されている獣医師の先生もおり、無理なく段階的にケアを進めることの大切さが語られています。


それでも歯みがきができないときに:組み合わせの工夫

たとえば、こんなステップで口腔ケアを設計してみましょう:

① コットン磨き(歯の表面をやさしくこする)
② ガムで咀嚼と唾液分泌をサポート
③ 慣れてきたら歯ブラシへ移行 or 交互に併用

ガムも、「噛んで終わり」ではなく、“咀嚼時間が長く続くもの”や“VOHC認定商品(※)”を選ぶと、補助的にはとても効果があります。

※VOHC:米国獣医口腔衛生協議会が定める、歯垢・歯石減少効果があると認定された製品

また、コットンは歯ブラシに比べて「異物感が少なく、受け入れられやすい」という大きなメリットがあり、当店でも“歯みがきへの入り口”として推奨しています。

なので、 当店では「まずはコットンで優しくみがくこと」から始めて、徐々に歯ブラシに移行していくステップケアをおすすめしています。

歯みがきシートやガムは、あくまで“補助”
毎日の歯ブラシが難しい日や、苦手な部位へのアプローチとして上手に取り入れるのがポイントです。

たとえば──

  • 毎日の歯ブラシができない日は、朝だけシートで前歯を拭く
  • 奥歯が難しい子には、ガムを活用して「噛む習慣」を支える
  • 口を触るのが苦手な子には、まずはコットンでマズル周辺から慣らす

少しずつ、“無理なく続けられるケア”を見つけていくことが大切です。


飼い主さまの感情に寄り添う:「できてない」を責めない文化へ

あるブログにはこんな言葉が書かれていました:

「歯みがき、うまくできないとすごく自己嫌悪になる。だけど、嫌がる子を無理に抑えるのも違う気がして…」

歯みがきは“ケア”であると同時に、“触れ合い”でもあります。

怖がらせたり、嫌な記憶になってしまっては本末転倒。

大切なのは、「何を使っているか」より「どう続けているか」です。

ガムをきっかけに笑顔でお手入れができたなら、それも立派な第一歩。 その上で、少しずつ「触れられることに慣れる」→「コットン」→「歯ブラシ」という流れを一緒に歩んでいけたら、ワンちゃんもきっと安心してくれます。


■ まとめ:道具の“優劣”ではなく、“設計と続け方”の工夫を

歯ブラシ、コットン、ガム――どれにも「できること」「できないこと」があります。

だからこそ、ひとつに絞るのではなく、組み合わせて“今できるベスト”を探していく姿勢がとても大切です。

ワンちゃんの健康は、毎日の口の中から。

焦らず、責めず、でも確実に、できるところからケアを始めていきましょう。

今日も一緒に、健康を見守っていきましょう。

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