“歯周病”は“老化”ではありません
2025.11.18 BLOG
「歯周病は年齢のせいだから仕方ない」と思っていませんか? 実はそれ、誤解なんです。
歯周病は、年齢だけが原因ではなく、“日々のケアで予防・改善できる”生活習慣病。
今回は、その科学的なしくみと、おうちでできるケア方法をご紹介します。
「うちの子、もう年だから歯が悪くなるのは当たり前だよね」
トリミングやホテルをご利用くださる飼い主さまから、よくこんなお声をいただきます。
でも実は、歯周病の進行は「年のせい」ではなく、
「ケアの頻度」や「習慣の有無」による部分がとても大きいのです。
つまり、老化ではなく“予防可能な疾患”なのです。
歯周病とは、歯と歯ぐきの間に潜む細菌が炎症を起こし、歯ぐきが腫れたり出血したり、やがて歯が抜けてしまう病気です。
この炎症プロセスは、口腔内に住む細菌(とくにプラーク内の嫌気性菌)が増えることで、免疫が過剰反応を起こし、炎症性サイトカインが放出されることで進行します。
さらに、慢性的な炎症は全身の免疫系にも影響を与えることがわかっており、心臓病や腎疾患、糖尿病などのリスクにも関連しているという研究報告もあります。
つまり「お口の問題」は、「体全体の健康」にもつながるのです。
では、飼い主さまにできる歯周病予防のためのケアとは、どんなものでしょうか?
✅ 歯みがき習慣の形成:最初はガーゼや指で触れるところからスタート。1日1回が理想です。
✅ デンタルガム・おやつの活用:噛むことで歯垢を除去するサポートに。
✅ 定期的な口腔チェック:月1回、口臭・歯の色・歯ぐきの腫れをチェックしてみましょう。
✅ プロのデンタルケア:獣医師のスケーリング(歯石除去)や歯科診察も大切な予防の一歩です。
一気に完璧を目指さなくても大丈夫。 大切なのは「今日から1歩」を始めることです。
「もうひどくなっちゃったし、今さらやっても…」と感じている飼い主さまも、どうか諦めないでください。
歯周病は確かに進行性の病気ですが、ケアの仕方を変えるだけでも「進行を止める」「口腔内を清潔に保つ」ことは十分可能です。
大切なのは、ワンちゃんが「気持ちよく食べられる口」で過ごす時間を少しでも長く延ばすこと。
それが、毎日の食事の喜びや、お散歩中の元気にもつながっていきます。
歯周病は「老化」ではなく、「ケア不足による病変」。
それは決して責めるべきことではありません。 今日、ここから意識を変えて、習慣をひとつ変えていけば、ワンちゃんのお口はもっと元気になります。
お口の健康を守ることは、命を守ること。 そしてそれは、特別な誰かではなく、「毎日そばにいる飼い主さまにしかできないケア」でもあります。 今日から一緒に、口腔の健康を守っていきましょう。
