“歯みがき嫌い”は性格じゃない。慣れ方には“科学”がある
2025.11.15 BLOG
「うちの子、どうしても歯みがきを嫌がってしまって…」 そんなお悩みを持つ飼い主さま、多いのではないでしょうか?
でも安心してください。それはワンちゃんの“性格”の問題ではなく、“記憶”と“経験”の問題かもしれません。
ワンちゃんが歯みがきを嫌がるのには、ちゃんと理由があります。
たとえば過去に、 「口を無理やり触られて怖かった」 「知らないにおいのする道具が近づいてきた」 「ガリッと歯に当たって痛かった」
そんな体験をすると、「歯みがき=怖いこと」という記憶が残り、それが苦手意識として定着します。
これは“古典的条件づけ”という行動心理の現象で、人もワンちゃんも同じように経験から学んでいる証拠です。
では、どうすればワンちゃんに「歯みがき=怖くない」「むしろ心地いいこと」と思ってもらえるのでしょうか?
ここで役立つのが「脱感作」というアプローチです。
これは、怖いものや嫌なことを少しずつ慣らしていく方法。 いきなり歯ブラシを口に入れるのではなく、まずは“見るだけ”→“近づける”→“口元を触る”→“触る時間を伸ばす”…と、段階を踏んで進めていきます。
たとえばこんなふうに。
- 歯ブラシを近くに置くだけ(匂いを嗅がせる)
- 歯ブラシを持ってごほうび(楽しいこととセットに)
- 指で唇をめくる練習(1日5秒でOK)
- ガーゼで歯に触れる(力を入れず優しく)
- 少しずつ歯ブラシを口元にタッチ
この時大切なのは、“無理強いしないこと”と“ごほうびを忘れないこと”。 ワンちゃんにとって「やってみて大丈夫だった」が積み重なっていくと、少しずつ「怖くない」に変わっていきます。
「それでもなかなか慣れないんです…」 という飼い主さま、大丈夫です。それが“普通”です。
早く慣れてほしい気持ちはよくわかりますが、焦るとワンちゃんの不安が逆に強くなってしまうことも。 大切なのは「できたこと」だけに注目するのではなく、「嫌がらなかった」「最後まで落ち着いていられた」など、“過程の成功”を見つけていくことです。
歯みがきの時間は、ただのケアタイムではありません。 それは「信頼」を積み重ねる時間です。
最初は口を触るだけでも精一杯かもしれません。 でも毎日少しずつ練習して、ワンちゃんが「これは怖くない」「大丈夫」と思えるようになったとき。
それは、飼い主さまとワンちゃんが“同じ方向を向いて歩んでいる”証です。
焦らず、責めず、あきらめず。 小さな一歩を重ねていきましょう。
信頼は、日々のやさしい積み重ねでつくられていきます。
今日も一緒に、健康を見守っていきましょう。
